GAFAの光と闇を徹底解説【GAFA四騎士が創り変えた世界】
はじめに
2018年にアメリカの著名な大学教授、スコットギャロウェイによって記された著書「GAFA四騎士が創り変えた世界」をご存知だろうか?
GAFAとはGoogle、Amazon、Facebook、Appleという今まさに世界を牛耳る4社の頭文字から作られた造語だ。
この4社の行方により今後の世界情勢が決まるといっても過言ではないモンスター達であり、本書では彼らの特徴が鮮明に描かれている。
本書は以下2つを軸にしている。
GAFAの光の面:消費者や企業にもたらす好影響
GAFAの闇の面:今後の世界にもたらす悪影響
特に筆者はGAFAをあまりよく思っていないようで、後者の記述に圧倒的に力を入れている…笑
GAFAについて知ることは、この世界を生きていく上で非常に重要だ。
是非皆さんにも読んで頂きたい。
しかし本書はあまりにも長く内容が濃いため、読み切るには中々の時間と労力が必要だ。
そこでこの度、京大卒業を控えて暇を持て余している私が、お忙しい皆さんの代理として本書の論点をお届けしたい。
私の記事を読むだけでもGAFAについて理解を深めることは可能だろう。
買うか買わないかはあなた次第、この記事を読んだ後に決めてほしい。
しかし一つだけお願いがある。
もし購入を決断したのならば、是非とも記事内に設置した本書リンクをポチッとしてやってほしい笑
卒業を控えた私は、実に金がないのである…
では本題に移ろう。
と順に楽しんで頂けたら嬉しい。
GAFAの光の側面
アマゾン
2018年現在、全米の64%の世帯がアマゾンプライムを契約している。
これは大統領選の投票率(55%)や教会でお祈りをする人(51%)よりも大きい数字だ。
さらにスーパーやデパート等の実店舗で買い物する際も、4人に1人は事前にアマゾンのカスタマーレビューをチェックしてから買い物をする。
今や私たちの生活に莫大な影響を及ぼすアマゾンは、どのような成長軌跡を歩んだのだろうか。
アマゾンは1994年、Eコマースの将来性をいち早く察知したジェフベゾスという1人の人物により創設された。
さて当時のアメリカの小売業界といえば、泣く子も黙るウォルマートを筆頭に、クローガーやホームデポなど錚々たる猛者たちがしのぎを削っていた戦場だ。
そんな中にアマゾンはどう立ち向かっていったのだろうか?
まず工夫したのが、商材を絞ることだ。
最初からあれもこれも手を出してしまっては、中途半端に終わるのがオチである。
当初は今のようにどんな商品も取り扱うのではなく、“本”に絞って勝負した。
またアマゾンはここで一つ革新的な作戦を考えた。
ブックレビュー(書評)の導入だ。
今となっては当たり前のシステムだが、本を宣伝するのは小売店の役割であった当時としては、斬新的なアイデアだった。
なぜそんなことをしたのか。
理由は、会社の広告宣伝費を浮かすためだ。
ブックレビューの考案により、アマゾンは自社で商品の宣伝をする必要がなくなり、流通網の構築に専念することが出来たのだ。
また、実店舗を持たないと言う判断もアマゾンの成長を後押しした。
莫大な設備投資やそれに伴う人件費を抑えることが出来たからだ。
近年は倉庫の効率化をロボットの導入により徹底することで、もはや他社では逆転不可能なレベルでの価格優位性を持つようになった。
小売店としても、アマゾンのプラットフォームを利用することで、余計な販促費を費やすことなく商品をより多くに人々に売ることができる。
私たち消費者にとっても、以前ではあり得なかった多様な選択肢が安価で手に入るようになった。
以上がアマゾンの表の姿だ。
実に素晴らしい。
アップル
アップルの特徴を一言で言えば、圧倒的なブランド力だ
iPod、iTunes、iPhone、Apple Watchといった革新的な製品やサービスを次々と打ち出すアップルには多くの人々が熱狂する。
ここ日本でも、iPhoneの新型発売の際には徹夜して並ぶ人々の姿が毎回ニュースになっている。(これを見るたびに笑ってしまう私は実に性格が悪い)
“時代の先をゆく最高に格好いい存在”とでも消費者を錯覚させるだけの魔力をアップルは放っているのだ。
この類稀なるブランド力は、アップル創始者であるスティーブジョブズの巧みな戦略により生み出された。
その戦略が如実に表れているのが、日本でもお馴染みのアップルストアだ。
大都会の一等地に行かないと出逢えないあのガラス張りの美しい箱は、アップルのブランド価値を確固たるものにした。
しかし意外にも、スティーブジョブズが直営店の構想を発表した際には多くの専門家に笑われたという。
「携帯電話など高級品になれるはずがない、こんな高級感を出してどうするんねん」と
確かにこれも一理ある。
考えても見てほしい。
我々は携帯電話以外の電化製品 (洗濯機や冷蔵庫、テレビなど)の1ブランドに夢中になったりするだろうか。
10年前、ガラケーの製造メーカーを友達に自慢していただろうか。
しかし凡人の常識をぶち破り、新たな常識を築き上げるのがイノベーターと呼ばれる存在であり、スティーブ・ジョブズという男なのだ。
今やiPhoneは、スマホ市場において誰もが認める最高級ブランドとして多くの人から羨望の眼差しを受けており、世界のスマホ市場の利益の86%を独占している。(Counterpoint Researchの2017年調査結果による)
アップルストアの1平方フィート当たりの売上は、2位のコンビニエンスストアを大きく引き離し、小売業界で最高の数字を叩き出している。
お洒落な街の、お洒落なストリートにある、お洒落な箱の中で最先端の製品に触れば、人々の心はいとも簡単に動かされてしまうのだ。
圧倒的なブランド力を身に纏ったアップルは、筆者の見解によればGAFAの中で最も潰れるリスクが低い企業だそうだ。
ちなみに2018年8月、世界で初めて時価総額1兆ドル企業に達したのもアップルである。(筆者の予想はアマゾンだったが見事に外してしまった…)
フェイスブック
フェイスブックは世界中でおよそ20億人の人々と関係を持っている。
人々は毎日35分をフェイスブックに費やすが、これはネット接続している6分の1、モバイル機器を使用している5分の1に相当する。
日本ではFacebookは今となっては利用している人は少ない(40過ぎのおっさんぐらい?)が、フェイスブックの1ブランドであるインスタグラムは若年層を中心に爆発的な人気を誇っている。
これだけ世界中の人々に浸透しているSNSは他にないのではないか。
フェイスブックの特徴は、マーケティングのファネルの最上部にあたる認知の段階に大きな影響を及ぼすことだ。
皆さんもフォロアーが食べているお菓子を自分も購入してみたり、同じ場所に旅行した経験があるのではないだろうか。
まさにSNSを通して物事の存在に気付き、自分の行動を起こしている証拠だ。
しかし今までこの役割を担っていたのは、テレビや雑誌、新聞などのマスメディアに限られていた。
これらのマーケティング戦略は2つに分類できる。
一つ目が、テレビCMや駅前の巨大広告といった、規模性に特化したものだ。
もちろん放送する時間帯や番組の内容、場所などを踏まえてある程度のターゲティングは行うが、一人一人のニーズを汲み取っているわけではない。
いわば数撃ちゃ当たる戦法だ。
二つ目が、専門雑誌やダイレクトメールといった、確実性に特化したものだ。
時間をかけて入念にターゲット層を絞り込み、彼らのニーズを最大限満たそうとするが、勿論大多数の人々には気付かれない。
いわば一点集中スナイパー戦法(造語)だ。
対してフェイスブックはどうだろうか?
フェイスブックは、ユーザーの過去の投稿や“いいね”の動向を大量に分析することにより、ユーザー各々のニーズを正確に見出し、最適な情報を提示することができる。
平たく言えば、一点集中スナイパー戦法よりも圧倒的に高度な情報を得た上で、数撃ちゃ当たる戦法よりも圧倒的に多くのユーザーに対してマーケティングを行うことが可能なのだ。
つまりフェイスブックは、これだけの規模を擁しながらも一人一人に適切なアプローチをかける、まさに質と量を体現した究極のメディアなのだ。
グーグル
グーグルは世界中から集まるあらゆる疑問に一瞬で答えてくれる。
グーグルの世界的な検索エンジンシェアは、パソコンにおいて89%、スマートフォンにおいて94%と他社の追随を許さない。
なぜこれほどまでに人々からの信頼を得ることができたのか。
理由は2点ある。
1つ目が、上品でシンプルなホームページだ。
例えば日本で比較的使われるYahoo!検索であれば、下にはズラリと広告やニュースが並んでおり、少々煩わしく感じることもある。
しかしGoogleは違う。
そこにあるのは“Google”という5文字と検索窓のみであり、極めてシンプルな構造となっている。
何千億とお金を積もうとも、そこに広告を出すことは誰1人としてできないのだ。
2つ目が、検索結果が広告の影響を受けないオーガニック検索の存在だ。
グーグル検索では、企業の広告枠には全て「広告」という文字が入り、明確に区分されている。
それ以外はGoogleの検索アルゴリズムにより、ページの関連性や有用性、引用の専門性など様々な要素を検討した上でランキング付けされて私たちに届けられる。
ゆえに人々は安心してGoogleから知識を得ることができるのだ。
GAFAの闇の側面
さて今までは、GAFAの光の部分を紹介してきた。
皆さんもGAFAの凄さを改めて実感し、好感度が爆上がりした人も中にはいるだろう。
しかし物事には必ず表と裏があるように、GAFAにもぱっと見ては分からない裏の姿がある。
以降GAFAのブラックな一面を覗いてみよう。
アマゾン
人々から職を奪う
アマゾンでは、ロボットによる倉庫の自動化が急ピッチで進んでおり、すでに20万台以上のロボットが世界中の工場で稼働しているという。
ここ日本においても、今年10月には国内で2番目となるロボットを導入した物流拠点が大阪茨木市に開設されている。
ロボットの導入により効率性が上がり、ますます低価格で商品を提供できるようになる。
これは我々消費者から見ると、理想的なシチュエーションかもしれない。
でも、従業員側の視点から捉えるとどうだろうか?
ロボットは、これまで人間が手作業で行っていた作業をより早く正確にこなすことができる、いわば人間の上位互換のような存在である。
当然従業員の仕事は縮小されていき、減給はもちろんのことクビだって宣告されかねない。
幸い今の時点では、ロボットの導入による大幅なリストラが実施された事例は存在しないが、今後どうなるかは未知数だ。
いずれは人間の仕事がなくなると言う識者も多く、アマゾンはその最先端を行く存在としてみなされている。
小売業者の淘汰
アマゾンは現在、実店舗の拡大を進めている。
アマゾンが運営する実店舗であるAmazon Goは、すでに2018年1月にシアトルでオープンし、2019年8月現在全米で15店舗が展開されている。
Amazon Goの特徴は、客がレジを通ることなく商品を購入できることだ。
小銭を取り出す必要はなく、長蛇の列にわざわざ並ぶ必要もない。
客はただ棚から好きな商品を手にとって、そのまま持ち帰るだけでいい。
あとはアマゾンが、持ち去った商品の合計金額を自動的に計算してクレジットカードに反映させてくれる。
実に素晴らしい。
しかし、もしAmazon Goの拡大が順調に進めば小売業界はどうなるだろうか。
正直こんな便利なお店が近くにあれば、誰しもが行きたがるだろう。
これには、長年小売業界の絶対的王者として君臨してきたウォルマートといえども安泰ではない。
実際ウォルマートはAmazon Goに相当な危機感を感じているようだ。
アマゾンがホールフーズを買収して実店舗を手に入れた同じ日に、ウォルマートは強力なマルチチャンネルのモデルを持つ会社を買収し、アマゾンと競う姿勢を見せている。
アマゾンは既存の小売企業の生命を奪いかねないのだ。
アップル
社会的責任の欠如
アップルは莫大な収益を得ている。
2019年第三四半期の決算によると、純利益は100億ドルと桁違いの数値を誇っている。
そんな膨大なキャッシュを溜め込むアップルに対し、筆者は教育のために使うべきだと主張する。
アメリカの大学は授業料が著しく高く、富裕層や低中所得層の極めて優秀な一部の層にしか門戸は開かれていない。
アメリカ上位20%の世帯の子どもの88%が大学に入学する一方で、最下層の世帯では僅か8%しか入学できないという。
十分なブランド力と財力を持つアップルは、オンラインでの講義配信システムと実際のキャンパスの両方を備えるだけの余裕があるのだ。
現状のアメリカの教育業界のビジネスモデルを破壊する役目をアップルが担うべきだというのが筆者の主張だ。
いや待て待て
流石にこれには同意しかねる。
筆者はアップルをボランティア協会と勘違いしていないだろうか?
なぜアップルが採算度外視でこんな重荷を担わされなければならないのか。
ちなみにアップルの現CEOであるティムクックは、慈善活動に積極的であることで有名だ。
昨年には、ある慈善団体に時価総額5億5千万円相当のアップル株を寄付したとされるほか、将来的には自分の全財産を寄付する方針だそうだ。
フェイスブック
社会を分断する
フェイスブックの強みは、圧倒的な規模性とターゲティング能力だ。
私たちがフェイスブックを利用すればするほど、フェイスブックにはデータが蓄積されていき、より一人一人のニーズに適した広告配置やニュース発信が実現されていく。
このアルゴリズムは、知りたい情報を自分で探すことなく自動的に入手できるために楽ではあるのだが、負の側面もある。
それは、私たちが偏った情報しか認知できなくなり俯瞰的な物の見方を失うことだ。
フェイスブックは、ある人の投稿を数十件チェックすることで、その人がどのような思想の持ち主かを判断することができる。
より具体的に言えば、Aさんが“いいね”をつけた投稿を150回見れば、フェイスブックはAさんの配偶者よりもAさんを理解でき、300回見れば、Aさん自身よりも理解することができるという。
これは中々恐ろしい事態である。
例えば、あるフェイスブックユーザーのBさんは、政治的には無関心であるが、周りに流されて何と無く自民党を支持している、若干右寄りな中立派だと仮定しよう。
もちろん沖縄の基地反対運動を非難したり、森友問題で首相を擁護することも無い。
あくまでも無関心である。
しかし、Bさんのフォロアーに右寄り勢力が何人か存在し、Bさんが友達の投稿に何の気なしに“いいね”を付けていたらどうなるか?
フェイスブックはすぐにBさんを右翼と結びつけ、Bさんの画面上に大量に右寄りのニュースや広告を投下していく。
Bさんのフェイスブック上には、“中国崩壊”、“朝鮮学校無償化反対”、“黒歴史の民主党政権”などのタイトル記事がズラリと並び、タイムラインは百田尚樹や竹田恒泰などの意見で埋め尽くされていく。
するとBさんはどうなっていくか?
おそらく偏った情報に視覚が支配され続けることで、Bさん自身も次第に右側へ誘導されていくだろう。
初めは中立に近かろうと偏った情報の大洪水に飲まれていけば、いずれ思想は偏る。
一年後には立派な右翼活動家が出来上がる。
全ては単純な二極化を行い、偏った情報しか出さなくなるフェイスブックのアルゴリズムのせいだ。
なぜこんなにも極端なことをフェイスブックは行うのか?
理由は、フェイスブックが収益に直接的に結びつくクリック数にしか興味がないからだ。
左寄りの記事や中立的なコラムなど、クリックされずに何の利益も生まないものは配置したくないのだ。
フェイスブックの辞書には、良心やバランスといった文字は存在しない。
有るのは金だけだ。
念の為言うと、これは勿論逆も然りである。
若干左寄りな穏健派も、フェイスブックにかかれば造作もない。
1年後には「米軍基地は今すぐ出ていけ!」などとリアリティーのない言葉を声高に叫び、理想主義に心酔する立派な左翼活動家の出来上がりだ。
つまり私たちが情報の信ぴょう性に常に疑いをもち、意識的に幅広く情報を集めない限りは、簡単にフェイスブックの餌食となる恐れがあるのだ。
挙げ句の果てには、フェイスブックという高々1社の動向によって、社会全体が2つに分断されてしまう恐れさえあるのだ。
責任回避
またフェイスブックはニュースメディアとしての責任を担うことを拒む。
本来ニュースメディアは、真実の追求や権力の監視といった社会的な役割を担うべきだが、フェイスブックはその責任を完全に放棄する。
金にならない面倒ごとなど負いたくないのだ。
フェイスブック側の言い分としては、フェイスブックは単なるプラットフォームに過ぎないから真実を判断することなどできないと言うことらしい。
しかしフェイスブックが毎日膨大な人数にニュースを提供している現状を踏まえれば、そんな言い訳は通じない。
掲載するべきニュースとそれに値しないニュースをきちんと見極めることに対し、もっと経営資源を割くべきである。
情報の一極化
Googleのサービスは極めて広範囲に渡る。
Googleマップにより世界中のあらゆる場所のデータを集め、Googleスカラーにより世界中のあらゆる論文を収集し、Googleライブラリーによりあらゆる報道データを集めている。
このように世界中の知識がGoogleという1つの会社に集中することは、実は非常にリスクが高いことだ。
ハッキングにより個人情報が大量に盗まれるリスク、許可なく情報が渡されるリスク、一国の主要な情報が抜き出され悪用されるリスクなど、挙げればキリがない。
それゆえGoogleは常に様々な国・地域で独占禁止法違反の訴訟を起こされており、特にEUではGoogleへの風当たりが年々強まっている。
GAFA全体の闇
税金逃れ
本書では記されていないものの、GAFAが抱える問題として重大な論点となっている租税回避について申し上げておきたい。
近年GAFAは、アメリカや欧州、日本等の消費国に対して十分な税負担を行なっていないと非難されている。
なぜそんなことが可能なのか?
答えは、GAFAのビジネスモデルに現状の法整備が追い付いていないからだ。
GAFAのビジネスモデルを一言で言えば、インターネットを通して国境を越えたサービスを提供することだ。
それはつまり、消費国に事業所や工場といった“恒久的施設”(PE)を設ける必要がないことを意味する。
したがって従来PEを根拠として法人税を課していた消費国は、GAFAのビジネスモデルに対応できずに法人税を課す手段を失ってしまったのだ。
またGAFAは有形資産を殆ど持たない。
それゆえ、巨額の利益をタックスヘイブンと呼ばれる税率の低い地域に留保して、消費国の税負担を回避することが可能である。
OECDの試算によると、世界の法人税収の 4〜10%に相当する1000億〜2400億ドルにも及ぶ税負担が回避されており、消費国は新たなスキーム作りに追われている。
少数の支配者と多数の農奴が生きる世界
最後に筆者はこう結論付けている。
「GAFAによりもたらされるのは、少数の支配者と多数の農奴が生きる世界」
GAFA全体の時価総額を合計されるとフランスのGDPに匹敵する途方もない金額になる一方で、GAFAで働く人数は合計41万人と僅かしかいない。
例えばフェイスブックの従業員数は1.7万人だが、これはフェイスブックの時価総額の半分にも満たないディズニーの従業員数の10分の1だ。
つまりGAFAに社会の最上層部が集まり、彼らが莫大な富を享受する一方で、残された大多数がGAFAの支配の下で細々と生活を続けていくしかない運命が迫ってきているのだ。
まとめ
さすがに“世界最高のビジネススクール教授50人”にも選出された人物の著書であるだけに、GAFAの実態や本質的意義に踏み込んた読み応えのある書物であった。
筆者の実体験に基づく描写(ニューヨークタイムズ社幹部としての組織改革など)も非常に面白く、実社会を理解する上でも大きな手助けになるだろう。
またネクストGAFAとして紹介されたいくつかの企業(アリババやウーバーなど)の強みや課題点についても経営者としての観点から知ることが出来、非常に参考になった。
最終章では、GAFAが創り出した今後の世界でどう生きるべきかを存分に語ってくれているので、これから社会に出ていく人々にも大いに参考になるのではないか。
この本の対象者としては、ビジネスマンのみならず大学生(文系理系問わず)や知的好奇心旺盛な中高生など幅広く網羅している。
GAFAには普段大変お世話になっているが、その実態や裏側が表に出ることは殆どない。
是非、年末という絶好の機会に本書を手に取り、GAFAの真髄をじっくりと堪能してほしい。
正直読んで得しかないだろう。
ただ最後に注意点として一つ申し上げたいことがある。
それは、著者がアメリカ人であるゆえに例として挙げられている企業の殆どがアメリカ企業であることだ。
さらに常識や慣習もアメリカ人に馴染みのあるものであるため、日本人の私たちにとっては若干わかりにくい。
従って例がよく分からない際には、適宜自分の知っている企業や言葉などに置き換え、噛み砕いていた理解をしていってほしい。